この記事で分かること
・数千の「いいね!」より、「好き」の一言が死ぬほど嬉しい
・同人サイト運営時代にも陥った「無反応」という最大の敵
・手遅れになる前に…秘めた感想は作家にぶつけた方がいい理由
以上3点です。
この記事の対象読者
・創作活動者(一次創作、二次創作などの同人作家)
・一次創作、二次創作、媒体を問わずそういった作品を閲覧するのが好きな人
↓2020年5月24日追記
創作者側へ対するアドバイス記事を書きました。
プロもアマも趣味程度でも、創作(同人)活動というものをされている方は日本にはおよそ80万人以上いるらしい。漫画、イラスト、小説、絵本、ハンドメイド(手作り)グッズ、ポスター、フィギュア、ドールその他いろいろと、活動の種類や規模は大小さまざま。
SNSやサーチエンジンなどが普及したおかげで、そういった活動をされている方がいることは比較的容易に知ることができるようになりました。そして、そういった創作活動も人気が出たら商品化したりして、全国でも売れるような有名作品などになったりする……そんなビッグドリームに憧れている作家さんも、少なくないと思います。
自分の作品を、みんなに見てほしい……
そのとっかかりとして、まずネット上に自分の作品(絵や文章や設定等々)をネット上に掲載してみる方が大半だと思います。
コミケ(同人誌即売会)や、コミティア(オリジナル(創作)限定の同人誌即売会)に実際に参加するのはかなりハードルが高い行為なので、ひとまずネット上でちょっとみんなに見てもらって、その反応次第で次の段階にいきたいところですよね。
その活動が二次創作(有名な漫画などの原作キャラや設定を使ったパロディ作品のこと)であれば、その原作キャラなどが好きな人が手にとってくれる可能性は高いのですが、もしもオリジナル(一次創作)であったら、よほど魅力的な絵や設定でない限り、同人誌即売会で初めて来た方に手にとって買ってもらうのは、非常に難しいのです。
(例えるならば、旅先のお土産屋で、ハローキ〇ィちゃんのキーホルダーと、その地元の無名の謎のマスコットのキーホルダーが並んで置いてあったら、あなたならどっちを買いたいか、ということですね)
かくいう投稿主も、かつて同人サイトが全盛期だったころに自分のサイトを持ってそこに作品を掲載していましたし、コミケもコミティアも出品したことがあるほどのオタクでした(今は以前ほどの情熱がないので半オタクに降格しています)
こぼれ話
同人サイトについてと、SNSの普及で緩和した著作権問題
同人サイトというのは、アクセスカウンターを可視表示してトップページに配置し、アクセス解析を設置し、「WEB拍手」や「感想掲示板」などの交流ツールを置いて、同じ趣味の閲覧者(訪問者)と交流することを目的にしたウェブサイトのことです。同人サイトは主に二次創作がメインで、原作キャラ同士のCPや、いわゆるドリーム小説(夢小説)と呼ばれる原作キャラクター×読者の創作小説や漫画を掲載して、検索避けを駆使して細々と活動し、昔のオタクたちの間で一世を風靡した最高の同人活動でした。
ツイッターなどのSNSは、その同人活動をより敷居が低いものにしただけではなく、かつての同人サイトの時に散々問題視されていた「著作権侵害を恐れて公式に二次創作活動がバレると困るゆえの検索避け」という問題そのものをガン無視した恐ろしいツールでしたが、今のところ公式や原作出版社からの著作権侵害行為によるお咎めは一切見受けられないどころか、公式が二次創作を推奨し、ファンに購買意欲を沸かせるために利用している始末……キャラクターの名前を画像検索すると、平気でツイッターなどに掲載した個人が書いた絵が腐るほど出てくるんですよね……「検索避け」とは一体なんだったのか……?
投稿主は創作者側に一応属している身ですので、創作者(作家)さんたちの側の気持ちが心臓が痛むほど分かります。なので今回、こんな記事を書くに至りました。なお、この記事に書く内容が全ての作家さんに当てはまるわけではないことだけご承知おきください。
数千の「いいね!」より、「好き」の一言が死ぬほど嬉しい
今の時代、自分のウェブサイトは所持せずに同人活動をされている方がほとんどだと思います。
ウェブサイトを1から作り上げるよりもSNSに画像(イラストとか漫画とか作品)を掲載する方が、手っ取り早く閲覧者からの反応がもらえるからです。
ツイッターであれば、「いいね」とか「RT(リツイート)」の数で、その作品がどれだけの方に気に入ってもらえたかの指標になっていると言っても過言ではありません。人気のツイート(作品)になると、画像を掲載したその日のうちに1万以上の「いいね」「RT」がもらえたりするのです。
「わぁ、SNSに上げた絵にすごくたくさんの「いいね」もらえてる…!」
それは次の作品作りのためのモチベーションにも繋がることです。極端に言うと、自分の作品を気に入ってもらえたということは、自分の存在価値を認めてもらえることと同義なのです。
ですが、悲しいことに人間は「慣れる」生き物です。
SNSに作品を投稿すると、「いいね」「RT」が貰える。それがだんだんと、当たり前になってしまうと、どれだけ「いいね」「RT」されても、物足りなくなってしまう瞬間がやってきます。
「この作品、本当に「いいね」って思ってもらえてるのかな……」
そんな杞憂のような不安にさえかられることがあります。
そんな時、リプ欄やRT後のツイートに、
「尊い……」とか「好きすぎる」といった一言があったら……
今までの陰鬱な気持ちがすっかり消し飛んで浮かれまくって枕に顔をうずめて舞い上がってしまうのです。
「いいね」も「RT」ももちろんそれは閲覧者の正直な反応なのですが、たくさんの「いいね」「RT」よりも、たった一言のナマの声【感想】のほうが、とってもとっても嬉しいのです。
それがたとえ趣味で好きでやっていることだとしても、自分の作品を好きだと言ってくれた人のことはずっと覚えているし、なんなら、次の作品を書くときに、「これを見たらあの人は喜んでくれるだろうか?」とつい意識してしまうようになるのです。
もしも推しの作家さんがいるならば、一言だけでもいいので、「感想」を添えてみてください。作者さん、見えてないところで滅茶苦茶舞い上がっていると思いますよ。
同人サイト運営時代にも陥った「無反応」という最大の敵
素晴らしい作品を掲載される方の場合、まだ「いいね」「RT」がたくさんされるだけマシです。
問題は、「いいね」「RT」の数がフォロワーさんだけにしかされない場合。趣味で、好きでやっている活動のはずなのに、なぜだかモチベーションが低下して、創作意欲が削られてしまうことがあります。
それは、投稿主が同人サイトを運営していたときにも起きたことと、とても似ていると思います。
同人サイト運営時代、投稿主は日々アクセスしてくれる訪問者さんが「WEB拍手」(ツイッターでいうところの「いいね」のような機能を持った応援ツール)を押してくれるのがとても嬉しかったです。一つ作品をあげれば、連打してくれる方もいたりして、それが励みになってモチベーションにも繋がっていました。
けれどある日、何の前触れもなく陥りました。それに。その感覚に。
ワガママとか、貪欲とか、そういった負の感情が蝕んでくるのです。
「アクセス数も多いし、拍手の数も多い。でも、なんでみんなコメントくれないんだろう……本当は、面白くなかった?誰も何も言ってくれないから、分からないよ……」
同人サイト運営時代、誰しも経験したことがあるといっても過言ではないこの欲求。
ただの承認欲求なのか、はたまた別の要因があるのか。
投稿主が見てきた限りでも、この「コメント枯渇病」が原因でサイトを閉鎖された方は少なくありませんでした。サイトが閉鎖されると、そのURLにアクセスしたとき、
「作品を作る意味が分からなくなったので閉鎖します」
といった感じの文言だけが表示されて、しばらくするとそのサイト自体にアクセスできなくなるのです。この寂しさは、恐らく言葉では言い表せられないものです。
最初は趣味で、好きでやっているだけだったのに、ある時から、「反応が欲しくて」「期待に応えなければ」といった不安要素が芽生えてしまって、それに耐えられず作品が作れなくなり、同人活動から撤退してしまうという一連の流れが、同人サイト衰退の一因だとも思っています。
(ツイッターなどのように掲載した直後から何かしら反応がもらえる便利な場所が出来たから、というのも一因だとも思いますが)
ネット上で活動されている作家さんも、「自分の作品を見て欲しい」という欲求が少なからずあるから、ネットに自作品を掲載しているのだと思います。「見てもらった上で商品化に繋げたい」とか「閲覧者からの反応がほしい」といった理由が必ずあるはずなのです。でなければ、わざわざネットに掲載したりしません。自己満足でいいのなら、アナログで写真を撮ってアルバムを自作すればよいのですから。
「コメント枯渇病」については、けれど、ツイッターの登場と、ツイッター上での同人活動活性化のおかげでかなり薄らいだ感覚になったとは思います。
ツイッターは、作家と閲覧者の間の壁を取っ払ってくれたのです。有名な漫画家や芸能人などのアカウントをフォローして、リプライで気軽に相手へコメントを送れるようになりましたよね。それは細々と活動されている同人作家さんも例外ではなく、前述の通り、「尊い」とか「好き」とか、そういったコメントを気軽に拝見できるようになったのです。
それでもなお、今も「無反応」という敵に恐れを抱いてしまう方もおられます。
気軽に反応を示せるようになった分、その「無反応」という反応が牙をむいてくるのです。
「無反応」の理由も様々ありますよね。その作品が単純につまらなかったから反応に困る、とか。ただたんに、その作品が宣伝不足で人に見られていないだけ、とか。
前者であればより良い作品作りをしなければいつまで経っても「無反応」状態でしょうし、後者なだけであれば、もっと自分の作品を広める努力をすればいいだけです。とりあえず、宣伝活動は積極的にしましょう。見てもらえなければもらえる反応ももらえません。
手遅れになる前に…秘めた感想は作者にぶつけた方がいい理由
投稿主はたびたび、こういった「作者視点」の記事を書いていますが、その理由は単純明快で、ただ一つしかありません。
【「あなたの作品が好きです」という言葉は作家にとって最大の生きる力になるから】
生きる力というのが大げさに感じるかもしれませんが、突き詰めれば、同人活動や創作活動って、会社で働く行為以上に「人生にとっての生業」なんですよね。たかが趣味、されど趣味。会社にいる間も、お風呂入ってる時も、寝る前も、起きてからも。ああしたいこうしたい、と寝ても覚めても考えていることがあるのなら、それは「人生の一部」に違いないのです。お金は稼げなくても、その人にとっての「生きる理由」の一つになっているのです。
そして、「作品」は「作者の魂」です。「生き様」と言ってもいいかもしれません。大げさに聞こえるかもしれませんが、投稿主も一応創作作家側の人間なので、そう断言したいです。
そして、「あなたの作品が好きです」を閲覧者から言ってもらえるというのは、承認欲求を満たす最高の厚意(行為、好意)です。自分の作品を認められた=自分自身の存在を認められたということになるのです。なにそれ重い…と思われるかもしれませんが、そういうことになるのです。
「どんなに作っても、どれだけの方に見てもらえていても、感想が来ないから辞めます」
そう言い残して同人活動を辞めてしまわれた同人作家さんを何人も見てきた身としては、本当に、閲覧者さんには積極的にお願いしたいことがあります。
もしも、何か作品を見て、読んで、感じることがあったなら、言葉が拙くてもいいし、短くてもいいから、その作者さんに「感想」を伝えてあげてください。あなたの「想い」を本人に伝えてあげてください。
「恥ずかしい」「重いと思われるかも……」「語彙力がないから」「引かれるかも……」そういうのは、感想を送ったあとに悩んでください。
作者(作家)さんは、「好き」の一言があれば生きていける生き物なのです。もちろん、書いていただけるならば作品のどんなところが良かったかとか、感銘を受けたのかとか、気に入ったのかとか、そういった細かい部分の感想もいただけるならば、泣いてしまうほど嬉しいものなのです。
例えばあなたが、好きな人に手料理をふるまったとして、相手から「おいしい!」って言ってもらえるととても嬉しくなりますよね。逆に、何もコメントがなかったら、「不味かったのかな…味が変だった?どうしよう、怒らせたかな…」とか、不安になりますよね。そういうことなのです。
作ったものに対して「感想」がなければ、良かったのか悪かったのか、悪かったのなら何がどう悪かったのか全く分からず次に活かせないのです。「コメント枯渇病」に陥る方たちの心理も、これと全く同じことです。
ただ、ごくたまに、ちょっと変わった人もいるので軽くご紹介だけします。
「好きです」だけだと、「何がどう好きなのか分からなくてイライラする」と捻くれたことを言ってくる方も存在します。そういう方はごく少数ですが、こういうタイプの作者さんには何言っても素直に受け止めてもらえないので感想は送らなくても大丈夫です。
また、感想なんて要らない、作品だけただ見ていて欲しいという匠のような価値観を持った方も存在します。そういった方々にコメントを送るのは、控えたほうがいい場合もあります。
上記2パターンの作者さんの作品に関する感想は、本人に直接言うのではなく、ツイッターのツイートでひっそりと想いを爆発させるに留めておくのが正解かと思います。間違ってリプ欄に書こうものならどうなるか想像に難くありません。特に後者の場合、下手な感想を送ると逆にモチベーションを削るパターンがあったりして、非常にめんどくさいです。
「あなたの作品が好きでした」ということを言えないまま、好きだった作者さんが消息不明になる辛さは、失恋のそれに非常によく似ています。
同人サイトを運営していた時も、とても好みの作品を書かれる方がある日突然サイトを閉鎖したとき、なんとかして感想を送れないかと試したのですが、メアドも分からず、結局、サイト管理人(作者)さんには「あなたの作品が好きでした」を言えないまま、現在に至っています。
同人サイトの頃よりも感想を送ることに対してのハードルが格段に下がった今、もしもこの記事を読んでいる閲覧者側の方がおられるのならば、勇気を出して作者さんに感想を送ってみることをおすすめしたいです。
投稿主のように、あの時感想を送っとけばよかった……なんて後悔を数年以上引きずったまま生きるのは、けっこう、しんどいですからね。
ちなみに、
投稿主は、(作家さんではないですが)奥華子さんが大好きすぎて、華子さん主催のイベントに当選したときに直接華子さんに便箋7枚にも渡る想いの丈を綴った封筒を手渡した(正確には直接渡すのが恥ずかしくて、帰り際にイベントスタッフさんに渡しておいてくれと頼んだ)という誇るべき黒歴史の持ち主でもあります。あの手紙を華子さんが読んでくださったかは定かではありませんが、大好きな方へ想いを伝えられたという自己満足感だけは今もしっかり残っています。
作品を作ることも、作者さんに感想を送ることも、どちらも「自己満足」同士なんですよね。
相手がどう思うかというのは、結局のところ未知数なわけです。けれど、作者さんが人の目に触れる場所に作品を掲載しているという時点で、それを見た方から何かの反応があることは覚悟の上なので、作品に対する感想というのは、伝えてナンボなのではないでしょうか。よほど批判的なことでない限り、作者さんが活動を自粛するなどの事態になることはないと思いますので、「ここが素敵だった」「この言葉にときめいた」などの簡単な感想からでいいので、作者さんに伝えてみてください。言葉が浮かばないなら、他のかたのリプや、感想を書いている方の書き方を参考にして自分なりの言葉に変えてみてください。贈り物と一緒で、大事なのは心です。
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