伝伝即飽

私の中で話題になっている事柄をお届けします!(※まとめサイトっぽいけどただの個人ブログです)

GW終わるし昔書いてた小説もどき晒す

追記(前に書いても追記)

文章書く以外に興味あること見つけちゃうとそっちに意識持っていかれて文章が書けないらしい。不器用だな!

今は絵を描くのが楽しいもんだから、絵ばっかり描いてる。文章も書きたい意欲はあるけれど絵描きたい意欲にのまれちゃってる。ブログ更新ちょっと停滞するかもだけれど一週間は空けないから見捨てないでくだちい・・・('ω')

休みボケか?ってくらい眠すぎて何も記事が書けなかったので、手持ちぶたちゃんを利用しグーグルドライブに保管してあった一次創作ブツを漁ってみた。

したら、めっちゃいっぱい作品になりそこねたモノとかなんかいろいろ出てきたからヒマつぶし記事として晒してみる。そのうち一次創作ブツ専用ブログ作ってるかもしれないけど今は別ブログ作る意欲がないのでこっちのブログにおいとこ。

 

タイに住んでた頃に書いた一人称体験記(脚色あり)

約9000字あるので暇つぶしにでもどうぞ。

(なお自分では読み返してないので文章破綻してても気にしないでどうぞ)

 

  某国のタクシー

 僕はかつて、一年半ほどアジアのとある国に滞在していたことがある。その国は(あるいは日本以外の国では)タクシーの止め方や乗り方が、日本とはじゃっかん異なっている。まず基本は、上手にタクシーを止めることだね。日本だと右腕を(あるいは左腕を)上に振り上げ、大きく手を振るとタクシーは止まる(僕が小学生だった頃、一度だけふざけて手をあげたら親切なタクシーが一台停まってくれたことがあったなあ)。けれどね、そのやり方だとこの国じゃ<いいカモ>だと思われて、ぼったくりに遭ってしまうことさえあるんだ。それじゃあ、どんな風にタクシーを止めればいいのか、ちょっと想像力がいるけれど、想像してみてくれ。
 まず、右腕を(あるいは左腕を)真っ直ぐに前へ出すんだ。このとき、腕を開く角度は斜め35度程度がいいかな。格好としては、ちょうど指先が自分の立つ位置から30センチばかり先の地面に向いている感じでね。ほら、ここに乗客が待っているよ、タクシーを止めてくれよって合図がこれさ。もしあなたの片手が今自由ならば、実際にこの合図を練習してみるのもいいかもしれないね。さて、これでたいていのタクシーは止まってくれる。でも、あんまりボーっとしていちゃいけないよ。止めるタクシーを見定める必要があるからね。
 タクシーの止め方の次は、良いタクシーと悪いタクシーの選び方だ。こちらは客なのだから、タクシーの選別くらい当然やってもいい。どういうタクシーが良いタクシーか判断をするには、まず車の様子を見ることだね。外見がまともなタクシーは大体の場合、良いタクシーが多いんだ。新車とまではいかないけれど、ボディ部分に光沢があって、それなりに新しく綺麗だと思えるものが最も好ましいね。そして次に、タクシーの運転手の様相をちゃんと確認すること。これをしないとどれだけ綺麗なタクシーをつかまえても、ぼったくりに遭う可能性が高くなってしまうんだ。
 じゃあ、タクシーの運転手はどういう人がいいかというと、これは簡単さ。人相が良い人は、良い人なんだ。あなたの顔を見てにこりと笑ってくれたり、ちゃんとこちらの目を見て話をしてくれる人のことだね。人相というか、顔つきが悪い人っぽく見える人は悪い人。なんだかすごく失礼なことを言っているように思われるかもしれないけれどね、この国じゃそれが常識なんだよね。僕はまだ一度も被害には遭ったことはないけど、僕の同僚の奥さんは以前、実際にぼったくり被害に遭ったことがあってね。そのとき彼女は運悪くボロボロのボディの、サングラスをかけたいかにも人相の悪い運転手のタクシーを拾ってしまったそうなんだ。被害額自体はたいしたことはなかったそうだが、その奥さん、そうとう腹を立てていたよ。次にあの運転手と鉢合わせたら軽く復讐してやると憤慨していたからね。女の人を怒らせるのは良くない。後が怖いものだから。

 こんなことを書いているけれど、実際問題、車の外見も人相もあまり良くない運転手のなかにもちゃんと良い人はいる。それは日本語が多少なりと話せる気さくな運転手のことだ。僕はいずれも別人だったけれど、これまで八人ほどの日本語の喋ることができる運転手にあたったことがあってね。たしなむとまではいかないものの、日本の地名を(たとえば札幌、名古屋、東京、大阪だとかね)つたない日本語で楽しそうに喋っていたんだ。特に驚いたのは「なんでだろう~?」という日本で流行した芸人のギャグを運転手が口にしたことかな。僕が日本人だと分かったら、いきなり「なんでだろう~?」なんて言ってくるのだから、あれにはほんとうにびっくりしたよ。日本語を喋ってくれる運転手のなにが良いかというと、ほんの数分くらいしかタクシーには乗らないけど、日本語を話してくれるという安心感を与えてくれるのが嬉しいんだよね。しかしそれだと、逆に安心感を与えてぼったくられそうな気がするよね。でも僕はそんなめには遭ったことはないんだ。むしろ、気分が良くなって、タクシーから下りるときにはお釣りは要らないよと多めに支払ってしまうくらいだから(恐らくは、それがあちらの狙いなのかもしれない)。あちらがわざわざ悪い工作をして、こちらに高い金を出させようとあくどいことをしなくってもね、こちらの気分を良くしてくれるなら、お釣りなんて要らないと言ってしまうものなんだ。日本語を喋る運転手は日本人のそういう優しい(悪く言えば、甘い)ところを知っているから、ちょっとした日本語を学んでいるんだろうと僕は考えているよ。あるいは、ただ単に日本人に喜んでもらいたいと純粋に考えて日本語を覚えた、なんていう本当の意味での「良い運転手」もいるかもしれないけどね。
 タクシーの乗り方についてはだいたい把握できたかな? 次は、目的地の示し方を話そうか。

「スクンビット、ソイ24(スクンビット24通り)」

 これは一例だけれど、これだけでいいんだ。場合によっては<デイビーズホテル>と付け加えたり、<トップスーパー>と付け加えたりもするけれど、たいていの場合は<どこどこ通り>を示せば連れていってくれる。細かい住所を知らなくっても、通りの名さえ知っていればどこへでもスイスイさ。ただし、ときにこの示し方を利用してぼったくろうとする輩がいるから気をつけて。そういうやつらはその<通り>を知っていてわざと遠回りしたり、遠回りした挙句「分からない」とまで言ってくることさえある。そんな悪い運転手もいるんだ。まぁほとんどの良心的な運転手はこちらが乗る前に目的地を示すと「分かる」「分からない」を態度や言葉で教えてくれるものだけれどね。この国のタクシーも日本と同じでメーター式だから、道が渋滞していたり遠出をしたりするとあっという間に乗車料金が上がっていってしまう。だから遠出するときは出来るだけタクシーは使わず、会社から提供される自家用車(運転手付き。人によってはまちまちだけど、僕の運転手はとても優しい人だったよ)で出かけたほうがいいとされているんだ。
 だけれども、そうは言っても、あなたがもし観光で、ツアーではなく一人ないしは友達同士の個人旅行でこの国に来た場合は、自家用車なんて出せるはずもないよね。そういう場合のためにこのタクシーの乗り方を書いているんだけどさ、実際、役に立ちそうかな? もしそうなら書いている僕も嬉しい。役に立たなそうだな……と思われてしまったなら、僕は悲しい。せっかく旅行で楽しみに来たのに、嫌な思い出になってしまった、なんてことにならないようにこれを書いているわけだから、なおさらね。まぁ、役立てるかどうかはあなた次第だから、僕は口うるさいことは言わない。どうか楽しい旅行になりますようにとは祈っているから、ぜひ楽しんで来ておくれ。

 さて、これを知っておいた上で、今度は僕の実体験を適当に書いていこうと思う。多少の脚色はしてあるけれど、ほとんどが事実であり、真実だ。少しでもこの国に興味を持ち、想像して楽しんでもらえたならば、それは僕の本望だね。
 始まりは、僕がこの国に来て間もないころ。同僚にタクシーの乗り方を教えてもらって、初めてタクシーに乗るというところからだ。この国は赤道に近いから、非常に暑い。特に僕が来た4月なんて、ちょうど夏真っ盛りで、日中は軽く摂氏40度に達するというほどだ。その日は土曜日だったかな。この国は日本と同じで、週休二日制らしく、たいていの企業や学校は休日だった。一足先にこの国に滞在していた同僚と僕の二人で、ホテルの外に出たんだけど、そのときの陽射しの強さと、この国独特の息が詰まるような暑さにはさすがの僕も立ちくらみを起こすかと思ったよ。
 ところで、休日といえば普通は家族サービスをするべきだから、同僚が僕のために時間を割いてくれる必要はなかったんだ。僕には奥さんも子どももいなかったから一人で滞在していたけど、同僚には奥さんと二人の子どもがいた。子どもと言ってもすでに独立しているから、彼は奥さんと二人でこっちに住んでいたんだけどね。でも、どうやら彼の奥さんは今日、こちらで知り合った同僚の奥さんたちとどこかへ出かけているらしく、同僚は暇をしていたらしい。

「タクシーの止め方、せっかく覚えたんだから使わないと」

 ホテルから出て、通りに面した歩道へ来た時に同僚は僕にそのように言ってきた。僕はついおととい、彼からタクシーの止め方を教えてもらっていた。けれどまだ実際に乗ったことはなかったので(会社が提供してくれる自家用車で出かけてばかりだった)、彼の言う通り良い機会だと思った。
 しかし、歩道でいくらタクシーを待っていてもなかなか現れないのだ、これが。どうでもいいときには結構ひんぱんに通りかかったりするのに、必要なときに来ないというのはどんな事柄においてもよくあることだよね。しばらくは強い陽射しの下で我慢強く待っていたのだが、いまだこの暑さに慣れない僕は耐え切れなくなって、歩道の内側のほうにある木陰へ避難した。「だらしないなあ」という同僚の呟きが聞こえた気がしたが、暑いものは暑いのだ。
 と、僕が木陰にはいって間をおかずに同僚が右腕を前へ差し伸べたのが見えた。タクシーを止めるときのあの格好だ。ふと右のほうを見遣ると、一台のツートンカラーの車が見えた。車体の半分から上部分が黄色で、半分から下が緑色だった。しかしそのタクシーは、外見が酷かった。遠目からみても「おいおい大丈夫なのかよ」と思わず呟いてしまうほど、車体がボロボロだったのだ。こんな廃車みたいな車、当然日本では滅多に見た事がなかった僕は軽く呆然としてしまって、「早く乗れよ」という同僚の声がかかるまで歩道に突っ立っていた。
 外面がボロボロのタクシーの車内は、同じようにボロボロだった。後部座席の背もたれの革の部分は剥がれ、中のスポンジが丸見えだったし、椅子の部分はそれの応急処置のつもりなのか、市販されているガムテープが若干浮いた状態で貼り付けてあって、余計にそれがボロく思わせていた。できるだけ綺麗なタクシーをつかまえろと言っていた本人である同僚がこんなボロボロのタクシーを選ぶなんて、暑さで頭がどうにかなってしまったのだろうか。そんな風に考えているのが顔に出ていたのか、隣に座る同僚は腕を組んでどんと構えて、平然と呟いた。
「タクシーが来たらとりあえず止める。それで、その運転手の人相が悪ければやめておけばいい。見てみろ、この運転手はいかにも人が良さそうな顔をしているだろ。この国じゃ、顔が全てモノを言うんだ。悪そうな顔をしている奴は実際悪い性格をしている、そういうものなんだよ」
 ものすごく失礼な事を述べた同僚に、僕は開いた口がふさがらなかった。しばらくは僕も静かにして、自分の動揺を落ち着けようと外の景色を眺めていた。しかし、冷静になってきたとき、僕の耳におかしな音が聞こえてきた。
  ゴトゴト、ゴドン。キュルキュル、ドン。
 この音は、どう考えてもこの車のタイヤ部分から聞こえていた。地面にある凹凸部分を通るときには一際大きくうなり、おしりが痛いと思うほどの振動が響いてきた。このタクシー、どうやらタイヤの空気が満足にはいっていないようなのだ。僕はそれを同僚に伝えたが、彼は慌てることなく、
「これが普通なんだ。日本で見聞きしてきた常識が、この国じゃ非常識で、日本では考えられない非常識が、この国の常識なんだ。こんな程度のことでいちいち驚いていたら、この先ここで生活なんてしていけないぞ」
 と、僕にとっては今でも名言だと思える言葉を述べてきた。僕よりひと月ばかり早くここに来ただけなのに、彼はもう慣れて、なにかを悟っているというのに心底驚いてしまった。

 そして僕はこの出来事以来、たとえタクシーのフロントガラスの端っこのほうにわりに大きなヒビ割れがあっても、たとえタクシーの車内側のドアハンドルの動作が悪くても、あるいはドアハンドルそのものが破損して最初から付いていない状態であっても、「これが普通のことなのだ」と思うようになり、ちっとも驚かなくなった。そしてそうなってしまうのと同時に、いかに日本という国が几帳面でちゃんとしているかを思い知らされた。
 ところが、そんな風に常識的思考が麻痺してきた頃、こんな僕にとっても驚くべきニュースを耳にすることになった。それは、走行中のタクシーが爆発・炎上したという事故のことだ。日本でも僕の知人がそのような事故を起こしてしまったのを聞いたことがあるのだが、どうやら爆発・炎上した車はそのケースと似ているらしかった。古いタイプのそのタクシーは、エンジントラブルを起こしているのに気付かず走行し続けた結果、ガソリンがなんらかの原因で漏れ、それがなにかの拍子に摩擦され引火したのだそうだ。

 ここからは僕の勝手な憶測になるので、もしあなたが読み飛ばしたいと思ったなら次の段落まで読み飛ばしてくれて構わないよ。
 この国の道路は非常に悪く、ちゃんと舗道されていても時が経つにつれ地割れを起こしてしまう場合が大半なようで、首都の主要道路でさえ大きな溝が出来ているほどである。そしてこの国の人は大変なスピード狂ばかりで、高速道路は愚か一般道路でさえ時速120キロを軽く出して運転している。そんな速度で地割れの起きている道路を走行するとどうなるか、果たして予想できる人はいるだろうか。後部座席は基本的にシートベルトをしなくてもいいことになっているのだが、シートベルトをしていないと前へ後ろへ右へ左へとおしりが浮いて大変なことになるのだ。僕の知人に一人、あまりにもその揺れが激しすぎたせいで痔を発症してしまった人がいるが、まぁこの話は置いておこう。とにかく、そんな風に揺れてしまうので車体に異常が起きてしまうのは当然なのだと思う。なんというか、この国に住んでいると日本の暴走族がかわいく思えてしまうのが不思議だ。
 さて、ここからはまたちょっとずれた話をしていこうかな。前述にあるとおり、この国の人にはスピード狂が多い。多いというか、運転免許の所持・未所持に関わらず国民の9割以上はスピード狂だろうと僕は思っている。ゆえに、交通事故はとにかくひんぱんに起きている。そのため昼夜問わず警察がパトロールやら取り締まりやらを行っているのだ。しかしそれでも事故を防ぐことはできず、年間に何百件という交通事故が起きてしまっているらしい。日本の交通死亡事故者数が毎年ワースト1の県(いや、あれは市だったかな?)に住む僕でさえ、こりゃあの県より酷いなあと思えるほどだ。とは言いつつも、あの県は安全運転の上で事故数があの数字なのだから、なんともはや……なにも言葉が出ない。
 ここまでの話をさらりと読んでくれたあなたなら、なんとなく勘付いているだろうけれど、この国には<速度違反>なんてものはないに等しい。僕は、会社から派遣されてくる運転手に高速道路を運転させたくないと思っている。いや、会社から派遣されてくる全てのスピード狂のこの国の人に、と言ったほうが正しいだろう。なにせ、僕は遊園地などにある絶叫マシーンが大の苦手だからだ。この国の人の運転で高速道路を進むというのは、ある種絶叫マシーン以上の怖さがある。紐なしのバンジージャンプ、あるいはセーフティネットを用意していない綱渡り、もしくは命綱なしで挑む急斜面のロッククライミング……いずれも、一度たりと僕は経験したことはないが……とにかく、それほどまでに危険指数が高いということだ。あなたは時速150キロという数字をしめして走行していく車からみえる景色を知っているだろうか。自分の真横の景色なんて、もはや景色などとは呼べない。一瞬で通り過ぎて、残像さえも残さないのだ。だから僕は、高速道路を利用するときはもちろんのこと、普段でも後部座席に座り、しっかりとシートベルトを着用していた。気弱だなとか、意気地がないなとか、そんな風に思われても結構。怖いものは怖いのだ。これだけはいくら経験しても慣れる気が全くしないので、いつもシートベルトを固く握っていたよ。大のおとなが格好悪いって? 怖いものは怖いのだ。誰にだって怖いものくらいあるだろう、そう意地悪な目で見ないでくれよ。

 話をタクシーの話に戻そう。そうだな、いくらなんでもこれ以上は長くなりすぎるから、最後にぼったくられない秘訣でも教えようかな。ただ、これが100パーセント成功するとは言い切れないし、絶対にぼったくりに遭わないで済むだろうという保障もない。でも、嫌な思い出を作らなくって済む確率は上がるだろうと思うから、話半分にでも聞いてくれたら嬉しい。
 これまでずっと言いぼかし続けてきたけれど、なんだかもう煩わしいし、第一これを隠してしまったら話しが続けられなくなってしまうのでもう隠しっこはなしにするよ。
 これから僕が教える秘訣っていうのは、タクシーに乗車して、タクシーが発進する直前にすることなんだ。僕も最近は慣れてきてしまって、たまに確認を忘れてしまうんだけれどね。発進する直前にすることというのは、運転席と助手席の間にある、機械を確認するということだ。この機械が正常に作動していると、赤い発光文字で最初は<35>からスタートする。これはどのタクシーも同じで、メートル単位(あるいは、これは僕のただの勘違いかもしれないけれど、ガソリンを食う量にも関係しているかもしれない)で徐々に値段が上がっていくんだ。
 ここでまず最初の注意なんだけど、この機械のスイッチは、タクシーを発進させる前に運転手が入れる仕組みになっている。でも、悪い運転手だとここで機械のスイッチを入れず、そのまま(なんの数字も表示されないまま)発進させるんだ。そうするとどうなるか。普通なら目的地に着いたとき、その機械に表示されているだけの金額を支払えばいいんだけど(40バーツならばきっちり40バーツ支払う)、機械がついていなければ正しい支払額が分からない。その場合は運転手の提示する金額を支払う必要がある。これがこの国に滞在する人間ならば、不正なほど高い額だと気付くけれど、観光客ならば気付けるはずもなくぼったくられることになる。たまにこの国に滞在している人(特に女性が多いようなんだけど)でさえ騙されてしまう場合があるから、こればかりは運の問題ともなってしまうかもしれないけれどね。
 それで、そうなった(ぼったくられてしまった)場合注意すべきなのは、不正だと気付いて腹がたっても、絶対に運転手の言うことに逆らってはいけないということ。もし英語や日本語で文句を言っても、相手は言葉が通じないという素振りを見せて取り合ってはくれないし、それだけならまだいいけれど、最悪運転手が逆上して殴りかかってくるなんて事態にもなりかねないからね。その場は大人しく金を支払って、タクシーを降りてから、悔しいけれど、負け犬の遠吠えをかますしかないんだ。厄介な面倒ごとは誰だって嫌だ、そうだろう? それに、多少の高い金額っていっても、日本円にしたらせいぜい300円程度のものだから、そう腹を立てる必要もないんだ。

 さて、ここまで書いたことは全部、できるだけ注意すればちゃんと出来そうな事柄ばかりだったけれど、これから僕が書く最後のアドバイスは、誰にでもできるような易しいものじゃないと思っている。でも、これを実行することによって嫌な思いをする確率は減るだろうと思うから、もし心に余裕があったら実行してみればいいと思う。ただし、たかだか300円程度のお金くらいくれてやるよと言う心の広い人は実行するに値しないかもしれないけれどね。でも誰だって、お金は惜しいものだろう? 少なくとも僕は、嫌な性格の人間にお金をぼったくられるくらいなら、そのお金を街頭募金の箱に入れたほうがいいと思っているから、最後のアドバイスを書こうと思い立ったんだ。
 それで、肝心の最後のアドバイス。それは

 タイ語(あるいはその国の共通語)を喋ること。

 これだけ。なんだそりゃ、と思われるかもしれないけれど、これを実行することで被害を防げる可能性がグンと上がるんだ。たとえ下手な発音であってもいい、たとえ意味が通らないひとつひとつの単語であってもいいから、なにか喋ることが大切。友人と一緒にいるのならば、その人と覚えたばかりの単語を言い合いっこしているというフリを見せればいい。もし仮に一人きりであっても、その場合は携帯電話を取り出して(たとえそれが圏外状態で通じないものでも)、自分はタイ語が喋れます、習いたてだけどちょっとはタイ語が分かります、ここに住んでいるんです、というフリを見せれば、賢い運転手なら「あ、こいつは滞在者か。タクシーに乗るのも慣れていそうだから、騙せないな」と悟ってくれるはずだ。まれに滞在者であろうが観光客であろうが日本人と見るやすぐに恰好の獲物と思うような意地の悪い運転手もいるけれど……そんな運転手は本当にまれなので、あとは運に身をゆだねておけばどうにかなると思う。
 ここまで書いたアドバイスをどう活かすかは、あとはあなた次第だ。何度も断ってしまって悪いけれど、ここに書いてある僕のアドバイス通りやったのに嫌な思いをした、と憤慨されても、僕には責任はとれない。それを理解したうえで、どうか楽しい旅行を送ってもらいたいと願っているよ。まぁもっとも、もしもあなたが冒険者であり、勇者だと自負するほどの勇気と度胸があるならば、ここのアドバイスなんて何一つ実行する必要はないよ。挙句、騙されるもまた思い出だ、なんて格好良いセリフを吐かれたらもう僕は返す言葉もなく、ただただ感心してしまうよ。というか、尊敬してしまうかもしれないな。

 今回はやたら長くて、ところどころ話が脱線してしまっているけれど、最後まで付き合ってくれてありがとう。あなたは自分の想像力に挑んで、一体どれほどリアルな国が想像できたかな? 僕にはおおよその見当もつかないが、想像して楽しんでくれたならこれ以上になく嬉しいよ。いつかまた、僕の話が聞きたいなと興味を持ってくれたなら、ここに遊びにきてくれ。僕もできるだけ、自分の経験してきたとびきりの出来事を面白おかしく書くようにするからね。

 6.Dec.2007

 

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